地震で倒壊が心配な空き家│所有者を待つ最大2億円超の賠償リスク

地震で倒壊が心配な空き家│所有者を待つ最大2億円超の賠償リスク

 

「親から相続した実家、震度6の地震が来たら倒れるんじゃないか…」
「近所に迷惑をかけたらどうしよう、と何年もモヤモヤしている」


能登半島地震、トカラ列島近海の連続地震、南海トラフ巨大地震の臨時情報──。近年、地震に関する不安なニュースが続くなか、所有している空き家の倒壊リスクに頭を悩ませている方は決して少なくありません。

特に多いのが、ご自身は別の場所に住んでいて、実家や昔の自宅が空き家として遠方に残っているというケース。普段は何ともなくても、大きな地震のニュースが流れるたびに「今度こそ倒れたのでは」と気が気でなくなる──そんなお声を、私たちは数多くお聞きしてきました。

そして、これは知っておいていただきたいことなのですが、所有する空き家が地震で倒壊し、他人に被害を与えた場合、所有者には極めて重い賠償責任が発生する可能性があります

公的な賠償額試算では、最大2億860万円という金額も示されています。 そして、これは「天災だから仕方ない」では済まされない、所有者の無過失責任──過失がなくても回避できない責任です。

この記事では、 地震で空き家が倒壊した際の所有者責任の仕組みと、 国土交通省の最新データから見る倒壊リスクの実態、 そして今のうちにできる現実的な備えについて、空き家買取の専門スタッフがわかりやすく解説します。

空き家が地震で倒壊したら、誰が責任を負うのか

結論からお伝えします。地震で空き家が倒壊し、隣家を壊したり通行人に怪我をさせたりした場合、その責任は所有者が負います。これは民法717条「土地工作物責任」によって定められたものです。

民法717条 土地工作物責任の構造 民法717条 土地工作物責任の仕組み 所有している空き家 地震で倒壊し、他人に被害を与える 所有者が無過失で賠償責任を負う
空き家には占有者がいないため、責任は直接所有者に向かいます

「天災だから責任なし」は通用しない

「地震は予測できないのだから、自分のせいではない」──多くの方はそう感じます。しかし、裁判所の判断は違います。

阪神・淡路大震災のケースでは、賃貸マンションの一階部分が倒壊し賃借人が亡くなった事案について、賃貸人・所有者の土地工作物責任が認められた判例があります(神戸地裁平成11年9月20日判決)。建物の老朽化や補強の未実施が「保存の瑕疵」と判断されたためです。

つまり、「通常想定される地震」に耐えられなかった場合、その建物には瑕疵があったと評価され、所有者が賠償責任を負う仕組みになっているのです。

空き家は所有者が直接責任を負う

民法717条では、本来「占有者(住んでいる人)」がまず責任を負い、占有者に過失がない場合に所有者が責任を負う、という二段構造になっています。

しかし、空き家には住んでいる人がいません。したがって、責任はワンクッションなく、直接所有者に向かいます。しかも所有者の責任は「無過失責任」──過失がなくても、瑕疵がある建物が原因で被害が出れば、責任を免れません。

空き家の所有者責任は特に重い

賃貸物件であれば借主が一次的に責任を負う構造ですが、空き家の場合は所有者がすべての責任を直接負うため、賃貸物件よりリスクは高いと理解しておく必要があります。

賠償額は最大2億円超になることも

では、実際に責任を負うとなった場合、どのくらいの金額になるのか──。公的機関による試算では、現実的に個人で背負える範囲を超える金額が示されています。

空き家倒壊による賠償額試算 空き家の倒壊で他人に危害を与えた場合の賠償額 出典:公益財団法人日本住宅総合センター(東京都日野市公開資料より) 通行人に重傷を負わせた場合 想定される賠償責任 5,630万円 治療費・休業損害・ 慰謝料 等の合計試算 通行人を死亡させた場合 想定される賠償責任 2億860万円 逸失利益・慰謝料・ 葬儀費用 等の合計試算 隣家を破損した場合は、これに建物の損害賠償も加算されます
公的機関による賠償額試算。個人で負担できる金額を大きく超えます

これらは東京都日野市が公開している空き家対策の啓発資料に掲載されている、公益財団法人日本住宅総合センターの試算データです。
あくまで試算ではありますが、空き家1件の倒壊で人生が立ち行かなくなる規模の責任が発生しうる──そのことは明確に理解しておく必要があります。

旧耐震基準の空き家は倒壊リスクが特に高い

「自分の家がそんなに簡単に倒れるはずがない」と思いたい気持ちはわかります。しかし、国土交通省が公表している令和6年能登半島地震の被害分析を見ると、現実は厳しいものがあります。

耐震基準別の倒壊率 能登半島地震 木造建築物の倒壊率(建築年代別) 出典:国土交通省「令和6年能登半島地震における建築物構造被害」中間とりまとめ 旧耐震基準 ~1981年5月 新耐震基準 1981年6月~2000年5月 2000年基準 2000年6月以降 19.4% 5棟に1棟 が倒壊 基準 5.4% 旧耐震の約1/3.6 0.7% 旧耐震の約1/28
旧耐震基準の建物は、2000年基準の建物に比べて倒壊リスクが約28倍高いというデータです

国土交通省の調査では、能登半島地震で被害が大きかった地域の木造建築物4,909棟を対象に、耐震基準別の倒壊率が分析されています。

  • 旧耐震基準(1981年5月以前):倒壊率 19.4% ── 約5棟に1棟が倒壊
  • 新耐震基準(1981年6月~2000年5月):倒壊率 5.4% ── 約20棟に1棟が倒壊
  • 2000年基準以降:倒壊率 0.7% ── 約140棟に1棟

つまり、1981年5月以前に建てられた旧耐震基準の空き家は、5棟に1棟が倒壊するレベルの高リスクです。
親から相続した実家や、長く放置されてきた古い家屋は、ほとんどがこの旧耐震基準に該当することにご注意ください。

倒壊リスクが高い空き家の特徴

耐震基準だけでなく、空き家として放置されること自体が劣化を加速させ、地震リスクを高めます。以下に該当する空き家は、特に注意が必要です。

倒壊リスクが高い空き家の特徴 1 築40年以上の木造 旧耐震基準で建てられた 物件が大半 5棟に1棟が倒壊するレベル 2 長期間 換気されていない 湿気でカビ・シロアリ・ 構造材の腐食が進行 耐震性が想定以下に低下 3 屋根が重い瓦葺き 古い和瓦は1棟あたり 数トンの重量 揺れに弱く倒壊しやすい 4 隣家・道路に接近 倒壊時に被害を 与えやすい立地 賠償額が跳ね上がるリスク
これらに2つ以上当てはまる空き家は、特に早期の対応が必要です

「うちの実家、いくつ当てはまるだろう…」と数えてみて、2つ以上該当する場合は、できるだけ早く動かれることをおすすめします。地震は予測できませんが、所有者として打てる手は今のうちなら必ずあります。

地震保険・火災保険はあてになるのか

「保険に入っているから大丈夫」と思いたいところですが、空き家の場合は保険にいくつかの落とし穴があります。

  • そもそも火災保険・地震保険に加入できない──空き家は「住宅」と見なされず、契約を断られるケースが多い
  • 賠償責任保険の対象外になる場合がある──個人賠償責任保険は「住んでいる住宅」が対象のことが多い
  • 地震保険でカバーできるのは自宅の損害のみ──他人への賠償責任は地震保険ではカバーされない
  • 火災保険から派生する施設賠償責任保険は契約自体が困難──空き家は対象外になる商品が多い

つまり、「保険に入っていれば賠償も大丈夫」というのは、空き家においては成り立ちにくいのが現実です。火災保険会社・損保代理店に確認した方の多くが、「空き家のままでは加入できない」「賠償責任は別」と言われ、対応に困っています。

「補強」「解体」「売却」3つの選択肢を比較

では、所有者として取れる現実的な選択肢は何か。基本は3つです。

  • ①耐震補強・改修する──費用は100万~500万円、補強しても築古は限界あり
  • ②解体して更地にする──解体費用は数十万~数百万円、更地後は固定資産税が最大6倍に
  • ③売却して所有権ごと手放す──費用なし、賠償リスクからも完全に解放される

耐震補強は、住む予定があるなら検討の余地がありますが、誰も住まない空き家のためにかける費用としては合理性が低いのが現実です。築年数が古いほど補強しきれない部分も残り、根本的なリスク解消にはなりません。

解体は一見スッキリしますが、解体費用を自己負担した上で、その後の更地は固定資産税の住宅用地特例から外れて税負担が最大6倍になります。さらに、解体後の売却がスムーズにいくとは限らず、長期間更地のまま放置するケースも少なくありません。

これに対して売却は、所有権が移転した時点で地震倒壊による賠償責任そのものから解放されます。これが、地震リスクを抱える空き家所有者にとって、もっとも合理的な選択肢である理由です。

まとめ:地震が来る前に、所有から解放されるという選択

地震はいつ来るか、誰にもわかりません。そして、来てしまえばすべて手遅れです。

この記事でお伝えしてきたことを、改めて整理します。

  • 地震で空き家が倒壊し他人に被害が出れば、所有者が無過失で賠償責任を負う(民法717条)
  • 賠償額は重傷で約5,630万円、死亡で約2億860万円に達する可能性
  • 旧耐震基準の建物は能登半島地震で5棟に1棟が倒壊(国交省データ)
  • 空き家は火災保険・地震保険・賠償責任保険にも加入しづらい
  • 解体は固定資産税6倍のリスクあり、売却が最も確実なリスク解消手段

「いつかやらなきゃ」と思いながら何年も先送りしてきた方ほど、ぜひ今、立ち止まって考えていただきたいことです。所有しているだけで地震リスクは続きますが、所有権が移れば、その日からリスクはゼロになります

「築古で売れるかわからない」
「家財も残っていて、片付けからとなると気が重い」
「遠方にあって自分で動くのは難しい」

──そのどれにも、ラクウルはお応えできる体制を整えています。
古い空き家、訳あり物件、家財が残ったままの物件、遠方物件、すべて買取相談可能です。まずは以下のフォームから、お気軽にご相談ください。専門のスタッフがあなたにとって最善の方法をご提案いたします

 

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この記事のまとめQ&A

Q
地震で空き家が倒壊した場合、本当に所有者が責任を負うのですか?
A
はい。民法717条「土地工作物責任」により、建物の設置や保存に瑕疵があって他人に損害を与えた場合、所有者は無過失でも賠償責任を負います。空き家には占有者(住んでいる人)がいないため、責任は直接所有者に向かいます。阪神・淡路大震災の判例(神戸地裁平成11年9月20日)でも、賃貸建物の倒壊で死亡事故が起きた事案で所有者の土地工作物責任が認められています。
Q
「天災だから自分のせいではない」とは言えないのですか?
A
通常想定される範囲の地震で倒壊した場合、建物に「瑕疵」があったと判断され、所有者が責任を負うのが原則です。想定をはるかに超える未曾有の地震であれば免責される可能性もありますが、近年は震度6強以上の地震が各地で頻発しており、「想定外」と認められるハードルは高くなっています。築古の旧耐震基準建物が倒壊した場合は、「保存の瑕疵」として責任が問われやすい状況です。
Q
賠償額の試算はどこから出ているデータですか?
A
本記事で紹介している賠償額(重傷で約5,630万円、死亡で約2億860万円)は、公益財団法人日本住宅総合センターによる試算で、東京都日野市が空き家対策の啓発資料として公開しています。あくまで試算ですが、治療費・休業損害・慰謝料・逸失利益などを積算した現実的な数字とされています。隣家を破損した場合は、これに建物の損害賠償も加算されます。
Q
旧耐震基準の空き家は、本当にそんなに倒壊リスクが高いのですか?
A
国土交通省の「令和6年能登半島地震における建築物構造被害」中間とりまとめによると、被害が大きかった地域の木造建築物4,909棟を分析した結果、旧耐震基準(1981年5月以前)の建物では19.4%が倒壊しています。新耐震基準(1981年6月~2000年5月)では5.4%、2000年基準以降は0.7%にとどまっており、旧耐震基準の倒壊リスクは2000年基準の約28倍という結果です。
Q
火災保険や地震保険に入っていれば賠償もカバーされますか?
A
残念ながら、空き家の場合は保険でカバーすることが難しいケースが大半です。空き家は「住宅」と見なされず火災保険・地震保険に加入できない、または契約を断られることが多いほか、地震保険でカバーされるのは自宅の損害のみで、他人への賠償責任は対象外です。個人賠償責任保険も「住んでいる住宅」が対象になっていることが多く、空き家由来の賠償には適用されない場合があります。
Q
築古でボロボロの空き家でも買取してもらえますか?
A
はい。ラクウルでは旧耐震基準の築古物件、再建築不可、家財が残ったままの物件、遠方の空き家など、他社で断られるような物件も多数買い取ってきた実績があります。「もう売れないだろう」と諦める前に、まずは現状をお聞かせください。所有権を手放すことで地震倒壊による賠償リスクからも完全に解放されます。

※当記事は、空き家・訳あり不動産の買取相談を多数扱ってきた専門スタッフの知見をもとに作成しています。